秋桜(こすもす) 解説
映画「秋桜」に見る郷愁

「別府ん子は湯(言う)ばっかりや」
 中学、高校時代、尻の重い私達生徒に対して先生方がよく零していました。そのように面倒臭がり屋で暢気者の私が映画を製作できた事は自分自身驚きです。が、それは何をおいても友人、知人等関係者皆様方のお力添えの賜物である事は言うまでもありません。
 光陰矢の如し。気がつけば別府で生まれ育った十八年間よりも長い時間を県外で過ごしていました。京都の松竹撮影所で深作欣二監督を始めベテラン監督の助監督を務めながら映画制作のノウハウを学びました。

「俳句でイジメが解決できるか?」
 という奇想天外なテーマを掲げて今回の映画『秋桜』の製作にとりかかったのですが、それは私の父が俳人であったことが大きく影響しています。また、一方で俳句に造詣がなくても人間ドラマとして楽しめるようにと構成にも気を配りました。そして幸いにも「文部科学省選定作品」「大阪府教育委員会推薦作品」に認定して頂け、大阪市立扇町高等学校様のご協力で、平成16年度文部科学省「国語力向上モデル事業」の一環として国語の先生方にもご覧頂きました。 また、上映会を開いて頂いた中学校、小学校の生徒さんやPTAの方からも「現実味のある問題提起で親子共通の話題が作れた」とご好評を頂く事が出来ました。
 鉄輪温泉の情緒溢れる湯けむりを借景にできた事もとても効果的でした。思春期の少年少女達が織り成すドラマのテンポと絶妙に絡み合って、大人の観客にも忘れていた郷愁をふと思い起こさせてくれたのです。

 お蔭様で映画は、第二の故郷である京都の配給会社アジア・ワイド・コミュニケーションズ様の協力を得て上映会も行ってきました。
 機会がございましたら、是非とも『秋桜』をご覧いただき、ご家族一緒に日本の郷愁に触れていただきたいと願っています。
 

製作・監督・脚本 倉田径文
彩り豊かな出演陣
 主人公理佳を演じるのは人気アイドルユニット「フルーツポンチ」でも大活躍中の杉林沙織。正義感溢れる活発なキャラクターを活き活きと演じきっている。主人公の魅力に負けず劣らず、カメラの前での芝居は初体験ながら舞台での経験と実力を持つ松本美樹、高岡美保が脇を固める。暖かな眼差しで思春期の生徒を見守る担任の沢田先生役に女流俳人の黛まどか。小西博之が娘との心のすれ違いに葛藤する父親の苦悩を演じている。そして地元大分県の劇団立見席の個性溢れる俳優陣が華を添え、また俳句会の主宰役に監督の父親である俳人の倉田紘文氏が特別出演している。
 音楽を担当したのは、「ドリームズ・カム・トゥルー」の「DCTエンターテインメント」からデビューして人気を博していたグループ「SAL」のリーダーであるYOHEYが情緒豊かな作品にふさわしい、心に染み渡る楽曲を提供している。
温泉都市別府を舞台に情緒溢れる
癒しの映画が誕生

<自ら早紅葉したる池畔かな・・・高浜虚子>
<海地獄美し春の潮より・・・・・・・高野素十>
 全国でも有数の温泉都市別府は古くから多くの俳人達に愛され、そして町の人達も句碑を建てて俳句の伝統を大切に後世へと伝え続けている。
 なかでも鉄輪(かんなわ)温泉の街頭に投句箱を設けている鉄輪愛酎会は、毎年一基ずつ優秀句の句碑建立を続けてきて十年が経つ。湯けむりたなびく景観に句碑が添えられ、いよいよ風情が増していく。
 そして今、別府に生まれ育った倉田監督が、温泉の趣きを背景に情緒豊かで、どこか懐かしさを感じさせる癒しの映画を誕生させたのである。
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